◇序章◇

 

◇   ◇   ◇   ◇
 

 世界には二種類の人がいる、と誰かがたとえ話をしていたのを、僕がまだ小さな頃に聞いた覚えがある。そのときはまだ小さかったせいもあって、純粋にそうなんだあ、と思ってわくわくした。
 それから自分なりに、どういう振り分けで世界の人を二種類に分けられるだろう、と考えた。
 でも大きくなるにつれて僕の考えは変わっていって、今ではそんな無茶な振り分けを考えることもなくなった。

 

 でも最近、またよく考えるようになった。
 きっかけはとても簡単なこと。僕がどちらに属するのかということを本気で考え始めたからだ。
 いや、本当は違う。僕はどちらかに属することができるのだろうか、と切実に考えるようになったからだ。

 

 僕は世界の人を二種類に分けるなんて出来ない。そのどちらにも、僕は属することが出来ないかもしれないから――。
 

◇   ◇   ◇   ◇

 

 

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