◇序章◇

 

 世界には二種類の人がいるという。例えば、優しい人と冷酷な人とか、真面目な人と不真面目な人とかそういうこと。でも普通に考えてみて、世界の人間を二種類に分けるなんて無理だろ、と思う。
 でもあえて分けてみるなら、俺はこう思う。世界には二種類の人がいる。世の中の摩訶不思議な出来事を何一つ経験せずに済む人と、世の中の摩訶不思議な出来事に自分の意志に反して巻き込まれる人。前者は何事もなく、可もなく不可もなくといった感じで一生を過ごせる。後者はいろいろと面倒なことに巻き込まれ、挙句の果てには自分の命さえ脅かされたりするかもしれない。

 

 俺は昔から、何かしらおかしなことに巻き込まれやすかった。体質、というか、資質、というか、とにかく俺の何かがそれを呼び寄せてしまうのだろう。いや、もしかしたら俺がそれに呼び寄せられているのかもしれない。
 

 俺が定義した世界の二種類の人。俺は後者に属している。

 

 

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